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Maurer, C.*; Galmarini, S.*; Solazzo, E.*; Kumierczyk-Michulec, J.*; Bar, J.*; Kalinowski, M.*; Schoeppner, M.*; Bourgouin, P.*; Crawford, A.*; Stein, A.*; et al.
Journal of Environmental Radioactivity, 255, p.106968_1 - 106968_27, 2022/12
被引用回数:2 パーセンタイル:14.8(Environmental Sciences)2015, 2016年のモデル比較演習を経て、2019年に包括的なXe-133大気輸送モデル比較試験を企画した。欧米の医療用RI製造施設であるIREやCNLからの排出の影響が大きいヨーロッパと北米にある4つのCTBT国際モニタリングシステム局を対象とし、約30の参加モデルの結果の比較とアンサンブルを実施した。第2回ATMチャレンジの教訓により、参加者は事務局の指定する条件に基づいて計算を実施した。その結果、IREとCNLからの正確な日別スタック排出量を使用しても、拡散過程における誤差、残存排出源の適切な特性化、長いIMSサンプリング時間(1224時間)のデメリットと相殺され、平均すればスコアの改善が見られないことが確認された。一方、任意のモデル計算結果を用いたアンサンブルを実施したところ、今回対象とした4つの観測所でのXe-133バックグラウンドを十分に予測できることが確認できた。有効なアンサンブルのサイズは5以下であった。
佐藤 陽祐*; 関山 剛*; Fang, S.*; 梶野 瑞王*; Qurel, A.*; Qulo, D.*; 近藤 裕昭*; 寺田 宏明; 門脇 正尚; 滝川 雅之*; et al.
Atmospheric Environment; X (Internet), 7, p.100086_1 - 100086_12, 2020/10
福島第一原子力発電所(FDNPP)事故により放出されたCsの大気中の挙動を調べるため、第3回大気拡散モデル相互比較が実施された。前回のモデル比較より高い水平格子解像度(1km)が使われた。前回のモデル比較に参加したモデル中9モデルが参加し、全モデルで同一の放出源情報と気象場が使用された。解析の結果、観測された高いCs大気中濃度のほとんどが良好に再現され、いくつかのモデルの性能向上によりマルチモデルアンサンブルの性能が向上した。高解像度化によりFDNPP近傍の気象場の再現性が向上したことで、拡散モデルの性能も向上した。風速場の良好な表現によりFDNPP北西の高い沈着量の細い分布が合理的に計算され、FDNPPの南側の沈着量の過大評価が改善された。一方で、中通り地方、群馬県北部、及び首都圏のプルームの再現性能はやや低下した。
岩崎 俊樹*; 関山 剛*; 中島 映至*; 渡邊 明*; 鈴木 靖*; 近藤 裕昭*; 森野 悠*; 寺田 宏明; 永井 晴康; 滝川 雅之*; et al.
Atmospheric Environment, 214, p.116830_1 - 116830_11, 2019/10
被引用回数:6 パーセンタイル:26.43(Environmental Sciences)放射性物質の事故放出のための大気拡散予測モデルの利用が日本気象学会の作業部会により勧告された。本論文の目的は、2011年の福島第一原子力発電所からの事故放出に関する予測モデル相互比較によるこの勧告の検証である。放出強度は、放出の時間変化が得られない場合の最悪ケースを想定するため予測期間内で一定と仮定された。放射性物質の吸入を防ぐには地上大気の汚染度、湿性沈着に伴う放射線被ばく軽減には鉛直積算量の利用が想定される。予測結果はアンサンブル幅を有しているが、共通して時間空間的な相対的危険度を示しており、公衆に効果的な警告を不足なく出すのに非常に有用である。信頼性向上にはマルチモデルアンサンブル手法が効果的であろう。
Maurer, C.*; Bar, J.*; Kusmierczyk-Michulec, J.*; Crawford, A.*; Eslinger, P. W.*; Seibert, P.*; Orr, B.*; Philipp, A.*; Ross, O.*; Generoso, S.*; et al.
Journal of Environmental Radioactivity, 192, p.667 - 686, 2018/12
被引用回数:25 パーセンタイル:65.58(Environmental Sciences)地下核実験検知のためには、医療用放射性同位元素製造施設から放出される放射性キセノンのCTBT観測所への影響を把握することが大変重要である。医療用放射性同位元素製造施設から放出される放射性キセノンのCTBT放射性核種観測所への影響に関する調査の一環として、オーストラリアの医療用放射性同位元素製造施設からの放射性キセノンの放出データに基づき、本施設から放出された放射性キセノンが南半球の6つのCTBT放射性核種観測所に与える影響のATM(大気輸送モデル)を用いた予測が10カ国からの参加者により行われた。
佐藤 陽祐*; 滝川 雅之*; 関山 剛*; 梶野 瑞王*; 寺田 宏明; 永井 晴康; 近藤 裕昭*; 打田 純也*; 五藤 大輔*; Qulo, D.*; et al.
Journal of Geophysical Research; Atmospheres, 123(20), p.11748 - 11765, 2018/10
被引用回数:40 パーセンタイル:85.28(Meteorology & Atmospheric Sciences)福島第一原子力発電所事故により放出されたCsの大気中の挙動を理解するため、大気拡散モデル相互比較が実施され、12モデルが参加した。モデルで考慮される過程に起因するモデル間の差異に焦点を当てた解析を行うため、全モデルで同じ気象場、水平分解能、及び放出源情報が使用された。モデルアンサンブルによる観測された大気中Cs濃度上昇イベントの捕捉率は40%であり、FMSは80を超えた。解析の結果、大気中Cs濃度上昇イベントの再現には気象場が最も重要な要素であり、気象場の再現性が高い場合のモデル間の差異は、沈着及び拡散過程に起因していることが分かった。また、沈着フラックスが小さいモデル及び拡散が強いモデルは高い性能を示したが、拡散が強いモデルは大気中Cs濃度を過大評価する傾向を示した。
北山 響*; 森野 悠*; 滝川 雅之*; 中島 映至*; 速水 洋*; 永井 晴康; 寺田 宏明; 斉藤 和雄*; 新堀 敏基*; 梶野 瑞王*; et al.
Journal of Geophysical Research; Atmospheres, 123(14), p.7754 - 7770, 2018/07
被引用回数:24 パーセンタイル:69.81(Meteorology & Atmospheric Sciences)日本学術会議のモデル相互比較プロジェクト(2014)で提供された、福島第一原子力発電所事故時に大気中に放出されたCsの計算に用いられた7つの大気輸送モデルの結果を比較した。本研究では、東北及び関東地方に輸送された9つのプルームに着目し、モデル結果を1時間間隔の大気中Cs濃度観測値と比較することにより、モデルの性能を評価した。相互比較の結果は、Cs濃度の再現に関するモデル性能はモデル及びプルーム間で大きく異なることを示した。概してモデルは多数の観測地点を通過したプルームを良く再現した。モデル間の性能は、計算された風速場と使用された放出源情報と一貫性があった。また、積算Cs沈着量に関するモデル性能についても評価した。計算されたCs沈着量の高い場所はCsプルームの経路と一致していたが、大気中Cs濃度を最も良く再現したモデルは、沈着量を最も良く再現したモデルとは異なっていた。全モデルのアンサンブル平均は、Csの大気中濃度と沈着量をともに良く再現した。これは、多数モデルのアンサンブルは、より有効で一貫したモデル性能を有することを示唆している。
佐藤 陽祐*; 滝川 雅之*; 関山 剛*; 梶野 瑞王*; Grahn, H.*; Brnnstrm, N.*; von Schoenberg, P.*; 近藤 裕昭*; 寺田 宏明; 永井 晴康; et al.
no journal, ,
福島第一原子力発電所から放出された放射性核種(Cs)を対象とした第2回大気モデル相互比較が実施された。ラグランジュ型およびオイラー型の大気拡散モデルを含む13モデルがこのモデル相互比較に参加した。このモデル相互比較の目的は、(1)大気中輸送過程の理解、(2)モデル間の湿性および乾性沈着過程の不確実性の見積り、(3)Csプルーム再現のキープロセスの解明、(4)マルチモデルアンサンブル平均の評価、(5)モデルの物理過程改良に有用な知見の取得である。放出源情報によるモデルの不確実性を除外するため、全モデルは共通の放出源情報を使用した。気象場の違いによる不確実性低減のため、局所アンサンブル変換カルマンフィルターデータ同化システムと組み合わせた日本の現業予報モデルによる高時間空間分解能の気象データが全モデルで利用された。モデル間比較だけでなく、モデルと浮遊粒子状物質サンプリングネットワークによる観測値との比較も行われた。モデルと観測との比較から、降雨を経験していない原子力発電所近傍でのCs濃度は比較的良好な再現性を示したが、降雨を経験したCs濃度はモデル間の差異が大きかった。発表では、Cs濃度を決定する物理過程に関するさらに詳細な解析について議論する。
佐藤 陽祐*; 滝川 雅之*; 関山 剛*; 梶野 瑞王*; 寺田 宏明; 永井 晴康; 近藤 裕昭*; 打田 純也*; 五藤 大輔*; Qulo, D.*; et al.
no journal, ,
2011年3月の福島第一原子力発電所事故により放出されたCsの物理過程に着目した大気拡散モデル相互比較が実施され、12モデルが参加した。モデル計算結果の放出源情報及び気象場に起因する不確かさを除外するため、全モデルは同じ放出源情報及び気象場を使用した。浮遊粒子状物質モニタリングネットワークによるCsの大気中濃度と、航空機観測による地表沈着量を、モデル計算結果と観測値の比較に使用した。解析結果から、モデルアンサンブル平均のFMSは、積算沈着量について前回のモデル相互比較より向上したことが明らかとなった。また、モデルアンサンブル平均は観測値の高濃度をおよそ36%再現していた。捕捉率のモデル間の差異は8%から38%であった。これは、沈着及び拡散プロセスのモデル間の相違に起因していた。
佐藤 陽祐*; 滝川 雅之*; 関山 剛*; 梶野 瑞王*; 寺田 宏明; 永井 晴康; 近藤 裕昭*; 打田 純也*; 五藤 大輔*; Qulo, D.*; et al.
no journal, ,
2011年3月の福島第一原子力発電所事故により放出されたCsを対象とした大気拡散モデル相互比較が実施され、国内外12機関13モデルが参加した。モデル計算結果の放出源情報及び気象場に起因する不確かさを除外するため、全モデルで放出源情報及び気象場を統一した。浮遊粒子状物質モニタリングネットワークによるCsの大気中濃度と、航空機観測による地表沈着量を、モデル計算結果と観測値の比較に使用した。解析結果から、モデルアンサンブル平均は大気中濃度の上昇イベントの43%を捉えることに成功した。また、モデル間のばらつきの主要な要因は、モデルの沈着速度と拡散の強さの相違と考えられた。
佐藤 陽祐*; 滝川 雅之*; 関山 剛*; 梶野 瑞王*; 寺田 宏明; 永井 晴康; 近藤 裕昭*; 打田 純也*; 五藤 大輔*; Qulo, D.*; et al.
no journal, ,
2011年3月の福島第一原子力発電所事故により放出されたCs-137を対象とした大気拡散モデル相互比較が実施され、国内外から12モデルが参加した。実験開始当時最新の放出源情報と、気象庁非静力学モデルとデータ同化により作成された高時空間分解能の気象場を統一入力データとして用いた。実験の結果は、航空機観測によるCs-137の沈着量と大気汚染監視ネットワークにより観測されたCs-137の大気濃度と比較した。モデルは観測された沈着量を再現し、高濃度イベントを平均で40%程度再現できていた。しかしながら、統一気象場・放出源・解像度を用いても、モデル間で大きなばらつきが見られた。また気象場の再現性が悪い場合、高濃度イベントを再現することはどのモデルもできなかったことから、気象場の再現性が高濃度イベントの再現に重要であることが改めて示された。気象場の再現性が良い場合は、モデルの水平拡散と湿性沈着の大きさがモデルの再現性を左右していた。観測との比較から、水平拡散が大きい、または湿性沈着が小さいモデルほど、大気濃度の再現性が良い傾向が見られた。
佐藤 陽祐*; 関山 剛*; Sheng, F.*; 梶野 瑞王*; Qulo, D.*; Qurel, A.*; 近藤 裕昭*; 寺田 宏明; 門脇 正尚; 滝川 雅之*; et al.
no journal, ,
東京電力福島第一原子力発電所事故によって大気中に放出された放射性物質を対象として、世界の複数機関の数値モデルが参加したモデル間比較が過去2回行われた。本研究では、これまで3-10kmであった空間解像度を1kmに上げて第3回のモデル間比較を行い、発電所近傍で観測された高濃度イベントに対するモデルの再現性を評価した。本モデル間比較には国内外の9モデルが参加し、Csを対象とした計算を行った。実験に用いる気象場には1km解像度のNHM-LETKFによって計算された1時間間隔の出力を、放出源情報にはKatata et al.(2015)による推定結果を全モデルが用い、水平解像度は全モデルで1km相当とした。実験は2011年3月11日00UTCから3月24日00UTC間で行い、航空機観測によるCsの沈着量とSuspended Particle Matter (SPM)測定器によって捕集されたCsの大気濃度との比較を行いモデルの評価を行った。発表では2011年3月に観測された高濃度イベントや第2回MIPとの比較結果について示す。
佐藤 陽祐*; 滝川 雅之*; 関山 剛*; 梶野 瑞王*; 寺田 宏明; 永井 晴康; 門脇 正尚; 近藤 裕昭*; 打田 純也*; 五藤 大輔*; et al.
no journal, ,
2011年3月の福島第一原子力発電所事故で放出されたCsを対象として2つの大気拡散モデル相互比較(MIP)が実施された。各MIPにおいて、共通の放出源情報,気象場、および水平格子解像度(3kmと1km)がこれらに起因する不確さを排除するため使用された。解析の結果、ほとんどのモデルは浮遊粒子状物質観測ネットワークのエアロゾル採取による大気中Csを良好に再現していた。また、気象場が大気中Csのイベントを再現するのに最も重要であり、気象場が合理的に再現された場合には水平拡散と沈着プロセスが重要因子であることが示された。両MIPの結果の比較から、高い格子解像度が原発近傍の大気中Csの再現には必要であるが、必ずしもモデル性能を向上させるわけではない(特に原発の遠方域)ことが明らかとなった。また、数モデルの高い再現性がモデルアンサンブルの再現性を向上させていることとともに、マルチモデルアンサンブルの利用の利点が示された。
山澤 弘実*; 佐藤 陽祐*; 関山 剛*; 梶野 瑞王*; Fang, S.*; Qurel, A.*; Qulo, D.*; 近藤 裕昭*; 寺田 宏明; 門脇 正尚; et al.
no journal, ,
2011年3月に福島第一原子力発電所(FDNPP)から放出されたCsを対象とした大気拡散モデルの第3回相互比較(MIP)が実施された。前回の第2回MIPと同様、参加した全9モデルで共通の放出源情報と気象データが利用されたが、FDNPP近傍で測定された大気中Csの挙動の理解のため水平格子解像度は前回の3kmより高い1kmとされた。その結果、第2回MIP同様にほとんどの観測された高い大気中Cs濃度が良好に再現され、性能の高い数モデルにより性能の低いモデルの影響が打ち消されるマルチモデルアンサンブルの利点が示された。また、高い格子解像度により気象場が改善した結果、FDNPP近傍でのCsの挙動が第2回MIPより合理的に再現された。さらにMIPの結果の解析により大気拡散シミュレーション結果の緊急時における有用性について調べたところ、各モデルのCs濃度計算値の絶対値の差異がファクター3からファクター6である場合もマルチモデルアンサンブルによる観測されたプルームの見逃しはわずか3%であり、有効なマルチモデルアンサンブルには6から8モデルが必要であることが示された。